パン作り方発酵の工夫。発酵中蓋をするもの、置く場所などを紹介
パン作りにおいて、発酵は失敗の原因となりやすいとても重要なプロセスです。
オーブンに発酵機能がなく、うまく発酵しなくてパン作りに失敗したことのある方も多いと思います。
発酵に関する基本知識や、オーブンやレンジなしで発酵させるための意外な方法をまとめます。使えそうな方法にトライしてみてください。
パン作りの「発酵」とは
そもそもパンの「発酵」とは、イースト菌が糖分を分解して炭酸ガスとアルコールを発生することです。
小麦粉が水と合わさり、捏ねによる外部刺激を受けると形成される「グルテン」がそれらを取り込みます。それによりパンは膨らみます。
そのため、生地を捏ねる作業も発酵に大きく関わる重要な工程なのです。
大変な作業ではありますが、生地に弾力が出るまでしっかり捏ねることも忘れないでください。
発酵はパンを膨らませる目的だけではなく、パンに香りや風味を生み出す役割も持っています。
ふんわりさせるだけでなく、美味しいパンを作るために発酵させるのです。
発酵させるには
イースト菌は暖かい場所でエネルギー活動を開始する、ということは既にご存知かもしれません。温度が低いだけでなく、表面が乾燥していても発酵は弱くなります。
温度…25〜30度
湿度…70〜80度
がイーストの活動が最も活発になる状態です。
発酵時はイーストをしっかり活動させるために、温度と湿度を最適な環境に整えます。
また、イーストは酸素のない状態でアルコールを発生させるという特徴を持っているため、空気を遮断することも大切です。
発酵方法を工夫しよう
オーブンの発酵機能が使用できない場合、発酵に適した環境を作る方法を考える必要があります。
①何かと一緒に蓋をする方法
適した温度に近づけるために、冷たいものや暖かいものと一緒に密封する方法があります。
・夏は保冷剤と一緒にクーラーボックスに入れて蓋をする
夏は室内の温度が30度を超える事があります。そのままで放置すると過発酵になりかねません。
クーラーボックスに保冷剤を入れ、必要に応じて保冷剤にタオルを巻くなどしてボックス内の温度を25から30度に調節し、蓋を閉じて40分ほど放置します。
この方法で、発酵に適した温度と空気の遮断された環境にすることができます。
乾燥を防ぐため、濡らして硬く絞った布巾をかけておきましょう。
何度か中の温度をチェックしてください。
・冬はお湯と一緒に発砲スチロールの箱に入れて蓋をする
冬は室内の温度が低すぎて発酵が進みにくく、乾燥も気になります。
お湯をカップに入れ、発泡スチロールの箱や保温バックに一緒に入れて箱の蓋をして放置すると発酵が進む温度・空気の遮断された環境にすることができます。
お湯を入れるカップは、できれば保温効果のあるタンブラーのようなものが良いです。
お湯の蒸気が出るので、イースト菌の活動しやすい湿度も保つことができます。
何度か中の温度をチェックして、低くなって入ればお湯を変えましょう。
発砲スチロールなので、蓋に温度計をさして常に中の温度がわかるようにするのも良いアイデアです。
②意外な場所に置いておく方法
・夏はエアコンで温度調節
エアコンで室内温度を少し下げるだけで、発酵に適した環境になります。
乾燥を防ぐために上に濡らして硬く絞った布巾をかけて、室内に放置します。
電気代がかかってしまいますが、その間同じ部屋にいるのであれば自分の過ごしやすい部屋の温度にも近くので一石二鳥です。
・冬はこたつの中
冬はこたつの中に入れて、温度を高くする方法があります。
しかし、電源を入れていると暑くなりすぎるので、切った状態で湯たんぽなどと一緒に入れておくか、温めてから電源を切って少し温度が下がってから中に入れてみましょう。
乾燥を防ぐため、濡らして硬く絞った布巾をかけておくと良いです。
・お風呂場
お風呂場に放置するという方法もあります。誰かが入った後の暖かく湿度の高い状態を利用できます。
もしくは、濡れ布巾で乾燥を防ぎつつ、浴室乾燥機の電源を入れて浴室内の温度をあげるのも一つの手です。
・冷蔵庫
どうしても環境が整わない、うまく発酵できるか不安という場合は、冷蔵庫の野菜室に一晩中入れておく方法もあります。
野菜室は、冷蔵庫の中でも少し温度と湿度が高いので発酵が完全には止まりません。そのためゆっくりと発酵が進みます。夜記事を作って冷蔵庫に入れると、8時間後の翌朝にちょうど焼けるようになっています。
このような、冷蔵庫に一晩入れて発酵させて作るパンの発酵方法は「低温長時間発酵」「冷蔵庫発酵」などと呼ばれます。
発酵の見極め方法は「フィンガーチェック」
うまく発酵できそうでしょうか。
発酵の状態を確かめるには、生地が約二倍に膨らんでいるかを見るという方法以外に「フィンガーテスト」という方法があります。
発酵の状態を確かめたい生地に打ち粉をした人差し指を刺し、抜きます。
生地についた指跡がそのまま残る状態が、良い発酵状態です。
この時に、ついた指跡がどんどん小さくなるのなら発酵不足、生地自体が萎んでいくようなら過発酵を表しています。
時間通りに行うのではなく、状態に応じて発酵時間を変えましょう。
また、生地のサイズを見るだけでなく、必ずしっかり発酵できているか確認をしてから次の工程へ行くようにしましょう。
発酵不足で焼くと
発酵不足の生地を焼くと、パンはうまく膨らまず中身がぎっしりとしたパンが出来上がります。小さくて重いです。
食べてみるとねっとりしていてふんわりしていません。
過発酵で焼くと
過発酵になったパンを焼くと、パンはパサパサしています。
中にガスが発生しすぎているため、表面は凸凹していたりしぼんでいたりしていて、クラムも粗く穴が多い状態になります。
生地の中の糖分が分解されすぎてしまい、甘みがないです。
工夫して発酵させよう
失敗しやすい発酵方法の工夫を紹介しました。
使えそうなものがありましたか。
自分なりに色々工夫して、季節ごとにこれだという発酵方法を見つけてみてください。
オーブンなしで発酵ができると、オーブンを買い換えるお金や電気代の節約にもなります。